進捗yabai勢に贈る圧倒的進捗術

2015年8月1日土曜日

原稿書いてますか?入稿間際ですか?このエントリを読んでるということは、あんまり進んでませんよね?

SNS=進捗の敵

SNSは割り込みの宝庫です。シンプルに言って進捗の敵です。
原稿をぼちぼち書き上げ(描き上げ)ないといけないのに今ひとつ進まない。進まないなーと思ってやる気を出すべくSNSを眺める。気付いたら数十分経っている。進捗やばい。焦る。進まない。こういうループはありがちです(特に、内容やクオリティ的にギリギリを攻めるほど)。
私がほぼ常時開いているSNSはこのへんです。
  • 私用のGmail(Hangouts含む)
  • 仕事のGmail
  • Facebook
  • ChatWork
  • Slack(2つ)
さて、ここでは人のアクションをストリームあるいは比較的手軽なポーリングで得られる仕組みは全部SNSと括ります。ChatWorkは、その特性から言って完全にSNSです。人によってはpixivやニコ動、Instagram、Tumblrも含まれるでしょう。なお、仕事中に私用のGmailやFacebookを開いていたり、仕事外でChatWorkを開くことに関する突っ込みは一定あると思いますが、まあそれはそれとします。
インターネットアクセスがあるかぎりSNSへアクセスするのは仕方ありません。しかし、作業に集中したければSNSをごっそり落とすしかありません。
SNSを落とすといっても、各所のサーバへアタックするのはいけません。各種サービスを頻繁に開いたり閉じたりするのも、ずいぶんと時間の無駄です。ウィンドウを分けてSNS系を片方へ仕分けするというのもアリですが、試してみるとイマイチ脳内の分離にはつながりません。
そういうわけで、メインのWebブラウザと、SNS類専用のWebブラウザを分けます。

SNS専用Firefoxの作り方(Mac用)

基本的に、標準機能を組み合わせて実現します。
Firefoxは、そうとう昔からマルチプロファイル利用をサポートしています。これを使ってメイン利用のブラウザとSNS専用のものを切り分けます。

FirefoxにSNS専用プロファイルを作成する

まず、Firefoxを一旦落として、ターミナルから
open -n -a Firefox.app --args -P
と叩いて実行します。
すると、あまり見慣れない(かもしれない)Firefoxのプロファイル選択画面が開きます(図1)。
図1 プロファイル一覧画面
通常はdefaultというプロファイルしかないはずです。こ左側の「新規プロファイルを作成…」からcommuという名前のプロファイルを追加します(上記のスクリーンショットは、追加後のものです)。
作成したら、「今後このプロファイルを使用する」のオプションを外して実行します。
以下、これをSNS専用のブラウザとして仕上げていきます。

SNS専用Firefoxに最低限の設定をする

新たに作成したプロファイルを指定して起動すると、メインブラウザの設定類が一切引き継がれない状態で起動します。これは重要ポイントです。あまり便利にしすぎると、SNS専用ブラウザを終了するモチベが湧きにくくなるため、「ほどほど不便な状態」にするのが大切です。
SNS専用ブラウザの設定事項は、以下をオススメします(図2)。
  • 一般→Firefoxを起動するとき: 「前回終了時のウィンドウとタブを表示する」
  • 一般→タブグループ: 「タブが選択されるまでページを読み込まない」をオフに
図2 SNS専用Firefoxの設定

SNS専用Firefoxを簡単に起動できるようにする

SNS専用Firefoxは、ほどよく楽に起動できる必要があります。これはAutomatorで実現します。
まず、SpotlightにAutomatorと打ち込んでAutomatorを開きます。
新規ドキュメントを作成し、図3のようにシェルスクリプトの実行ジョブを追加します。
図3 SNS専用Firefoxを起動するAutomator設定
ここで、ジョブの中身には
open -n -a Firefox.app --args -P commu
と書きます。
これをドキュメントディレクトリ以下に保存します。私はFxCommuという名前で保存しました。

起動確認

さきほど作ったAutomatorの実行ファイルをFinderから実行してみます。うまくいけばSNS専用のFirefoxが表示されます。うまくいかなければ何か設定を失敗しているはずなので、見直してみてください。
もしうまくいかず、時間がもったいないことに気付いたら、落ち着いて原稿へ戻ってください。多分、トラブルシュートしている時間はないはずです。
うまく起動できたら設定はほぼ終わりです。ここでやったようにFxCommuという名前にしておくと、通常SpotlightやAlfredの検索からFxまで叩くとSNS専用Firefoxを開けるので、ほどほどに便利です。

SNS専用Chromeの切り分け方(Mac用)

Chromeでも多分似たようなことはできます。が、私はほぼFirefox使いなのでChromeでの手順は調べていません。読みたいという人が居れば追記するかもしれません。

進捗圧をかけるための仕上げ

私の場合、不幸なことにWebブラウザを開いていると、アドレスバーへ移動してKDDI ChatWorkのURL冒頭であるkcwと叩いてしまう癖がついています。fと叩いてFacebookを開くことも多いです。
これを逆手に取り、メインブラウザ側で以下のような設定をします。
RedirectorというFirefoxアドオンがあります。これは、ブラウザで開こうとしたURLのうちで、特定のパターンに一致するものを他のURLへとリダイレクトするものです。
これをインストールし、図4のように設定します。
図4 Redirectorでの強制リダイレクト設定
ここでは、リダイレクト先のURLをすべてomnifocus:としています。これは、タスク管理ツールのOmniFocusをアクティブ表示させるものです。なお、Facebookについては、各所に仕込まれているいいねボタンがごっそり引っかかるのを避けるために、*://www.facebook.com/plugins/*を除外URLにしています。
このように設定すると、メインのブラウザでGmail/Facebook/ChatWork/Slackあたりをうっかり開いたら、OmniFocusがフォアグラウンドへ出てきて進捗的なダメージを受けます。結果、作業が進みます。
リダイレクト先としてのomnifocus:設定は、OmniFocusをインストールしている人限定のものです。例えばWunderlistをタスク管理に使っている人やRemember the Milkを使っている人は、それぞれのURLをリダイレクト先に指定すると良いでしょう。

以上、あとは進捗するだけです

圧倒的進捗意識を持って進捗しましょう。

Twitterは呼吸である

ここまでで言及していませんが、TwitterはSNSというよりも呼吸なので専用クライアント(夜フクロウ)を常時開けっ放しです。多少は時間を持っていかれますが、いろいろ試した結果として「Twitterクライアントを切っていたほうが結果的に生産性が下がる」ことが分かっているのでこのままにします。

効能(個人差があります)

この方法を運用し始めてから数日間での所感を書いておきます。

FxCommuを開く回数はさほど多くない

完全起動(全タブの読み込み完了)までに15秒程度はかかるため、「見たいと思った瞬間に見れない」ことになります。
見たいと思った瞬間から概ね6-7秒も経てばあまり見たくなくなるので、起動中に欲望のピークをすぎることになります。この時間が体感として身についてくると、自然とSNSを開こうと思うケースが減っていきます。
なんか禁煙治療みたいですね(知りませんが)。

URLフィルタパターンについては考慮の余地あり

時折、Facebookのウィジェットを埋め込んでいるようなサイトへアクセスするとおもむろにOmniFocusがポップアップしてきて「ファァァ」となりますが、まあさほど頻度が高くないので許容しています。
この方法だと、Facebookログインを利用するサイトも軒並み使えなくなるので、少々面倒な感じがします。今のところFacebookログインが必要な場合はSNS用Firefoxを開くようにしていますが、利便性的には適切にホワイトリストをメンテしたほうがよさそうです。

もう少し通知を増やしても良いかも

私はこれまでモバイル側の通知をごっそりと切るようにしていたのですが、この仕組みの確立によってSNSにかける時間の比率がほどよく下がってきたので、この先はもう少しだけ通知を増やし、ChatWorkやSlackで自分へToが飛んできた場合のみモバイル端末へ通知を飛ばしても良いかな、と思うようになりました。

懺悔

これ気付くのがもう2週間早ければ、締め切り守れたと思うんですよね(ぷるぷる)。けれど、導入しなければ多分原稿落としてたと思います。
それでは、よい原稿ライフを。

ソフトウェア開発者のFPGA入門 補足ノート1


の資料を補足するシリーズです。
途中でやったことや、参考情報を書いていきます。割と個人的メモです。

作りたいものがあるのは大事

まず、心構え的なアレですが、すぐに具体的なものが浮かばないにしても、「こういうジャンルのものを作りたい」ぐらいはあったほうが情報収集についても何にしても良さそうです。
私の場合はWebサービスやゲーム系のサーバサイドでFPGAを利用して何かできないかなーという興味が軸です。

FPGAを勉強し始める前段階


ハードウェアとソフトウェアの真ん中あたりへ攻めていくにあたり、ソフトウェア方面から来た人間には明らかにハードウェア方面の常識が不足しています。まずはこれを補っておいたほうが後がきっと楽です。
そういう場面で読むべき本として、「CPUの創りかた」は完全なる名著です。発刊から12年近くが経った現在でも売れ続けていることから分かるように、とても良い本です。私の場合は、元々ハードウェア系にとても弱いので、この本を何度か読んでからFPGAの領域へ来ました。

第0歩の直前: XilinxかAlteraか

そこそこの評価ボードを入手しやすく、開発キットをしっかり提供しているベンダーはXilinxとAlteraの2強です。FPGA自体の実装アーキテクチャは異なりますが、VerilogやVHDLで記述した定義をFPGAへ落として実行し、デバッグなどもできるという面ではあまり変わりません。
私の場合は、うっかりと両方のボードが手元にあります(当初購入したAlteraのチップを搭載したDE0というボード、そしてARMコアとFPGAのハイブリッド構成という楽しさに釣られて購入したXilinx系のMicroZed)。
評価ボードがない状態でもひとまず開発ソフトをダウンロードして試すことはできるので、ひとまず両方触ってみましょう。といいたいところですが、FPGAの開発用IDEはとにかくメニュー構造もワークフローもソフトウェア系と違ってなかなかに複雑です。しかも、XilinxのIDEは割と最近(といっても2-3年前ですが)にフルリニューアルし、過去版(ISE)に基づいたblogの入門記事類がごっそりとdeprecatedになっています。「どうせEclipseベースだから、触ればなんとかなるだろ」と思ってむやみに触り始めると心折れます。私は折れました。
まあ、AMD派?Intel派?という感じのふわっとした感じで適当に決めれば良いと思います。個人的印象では、Xilinxのほうがオンラインドキュメントが膨大にあってIntel風味なので好みです*1。x86 CPUベンダーと違って、「どちらのほうが比較的安い」みたいなのは無い気がします。
AlteraとXilinxどちらにするか決めたら、まずは安めのボードを物色します。雑誌付録にFPGAがついていたこともありましたが、最近は見かけないので えいやっと買ってしまうのが手っ取り早いです。
面白そうなボードや、入門の道を誰かが切り拓いてくれているボードがあれば、それに乗っかるのも良いと思います。今なら、$30で始めるFPGA(竹村さんの資料)に従って進める想定でBeMicro Max10 FPGA EvaKitあたりを買うのが楽なのではないでしょうか。ちなみに、これを買うとAltera閥へ入ることになります。おめでとうございます。
[*1] あっ、Intelが最近Alteraを買収したので、AlteraのほうがIntelっぽいというかIntelですね(紛らわしい表現)。

第0歩: 型を学ぶ


「ARM Cortex-A9×2! ZynqでワンチップLinux on FPGA」という本で学んでいったという話です。
これは、XilinxのZynqというアーキテクチャのZedBoardという評価ボードの利用を前提にした本です。
出た当初はこの本高いなぁ、Web上にある情報でなんとかならないかなぁ、と思っていました。
しかし、途中でIDEの扱い方に心が折れ、諦めて買いました。
本の範囲としては、旧世代のIDEの利用が多いのですが、一応新世代のIDEをカバーした章もあり、グラフィックス出力から自前のコア構築、チューニング可能なポイントの洗い出しから実際にチューニングしてみるまでの本当に多彩なトピックをカバーしています。
とても良い本です。ただ、誤植がものすごく多いのが難点です。見つけた誤植は「ARM Cortex-A9×2! ZynqでワンチップLinux on FPGA」の誤植一覧(150箇所)にまとめました。
ここでの学び: ツール群の扱い方がざっくりと身につかないと、他のことが頭に入ってこない。まずはこういう本に従ってひと通りを体験するの大事(しかしISEベース...!)
この本、ひとつひとつしっかりやっていくと各小項目で1冊ずつ本が書けそうな幅広さです。
特に、さわりが載っていたことが個人的に嬉しかった項目を挙げておきます。
  • ISEとVivadoの両方を使っての話展開
    • ちょっと古い記事やチュートリアルを眺めると、結構ISEベースの話がある。こういう時に怖がらず読めるようになった
      • まあ、PlanAheadとかXPS?とかいくつかのツールが、どういうふうに再編してVivadoになってるかという雰囲気が掴めるのが大きい
  • Linuxのデバイスツリーに関する話と実際に自分で書く話
  • PSとPLの間のデータ転送
    • AXI系
      • AXI4-Lite
      • AXI4
      • AXI4-Stream
結果、この本はだいぶ読み込みました。軽く遠出するときに電車の中で読んだり、家でも何度か読んだり。
2-3ヶ月FPGA方面から離れて、頭のなかから色んなものが抜けた状態で再度スタートしようというときに、頭をFPGAへ引き戻すためにも有効でした。
惜しいのは前述の通り、誤植が多いことです。やはり、頭が乗ってきて読み進めている時に、技術用語が誤った領域を踏むと脳が例外を吐いて止まってしまうので悲しいところです。売れに売れて重版で誤植が直ったら、多分もう一冊買うと思います。

Zynqの雰囲気

本やオンラインのドキュメントを読んでいて感じた、ARM+FPGAというZynqアーキテクチャにまつわる雰囲気を書いてみます。

"7"シリーズは断絶の壁

前述のように、XilinxはISEシリーズから新しいIDE(Vivado)へと移行しました。この移行期にぴったりぶつかったのが、いわゆる"7"シリーズです。ZedBoard/MicroZed/ZYBOに使われているZynq-7000シリーズもこのひとつです。
ISEにはZynq-7000シリーズの開発用定義ファイルがありません。古いチュートリアル(書籍も!)は割とISE前提で書かれています。

「ARM無しのFPGA単体で使いたいんですけど?」→「Artixでも使えば^^」

  • Zynqなシステムの利用にあたっては、Linuxを使うか否かは別として、チュートリアル的にARMは普通使うぽい
    • なので、Zynqのチュートリアルを探していくと、「単純な論理回路をまずは組んで動かしてみよう!」という感じの伝統的なFPGAチュートリアルっぽいのがあまり出てこない
  • Xilinxの人の、Zynqをシステム要素として使う際の設計スタンス http://news.mynavi.jp/articles/2012/02/22/zynq-7020/002.html
    • ARM側の電力削りたければ100MHzでも10MHzでも好きにクロック落とせ
    • RTOSが必要なら、ARM側をSMPではなくAMP構成にして1コアを低クロック動作させて使え
    • Cortex-R系はひとまずやる気ない
      • ※そう言いつつ、3年後にはMPSoCという新世代のアーキテクチャはCortex-A53ベースとCortex-R5ベースの2ラインに割れたので大変趣深い

MicroZed/ZedBoardの起動手段は使い分けたほうが便利

  • JTAGは初期の開発へ利用
    • デバッガをアタッチしたい場合などに大変便利
  • FPGA部分が固まってソフト開発へと段階が移ってきたらSDカードに書き込んで起動
    • いくつかのバージョンを別カードへ保持して差し替えやすい
    • 数十MB〜数GBのファイルも置ける
  • ファームがしっかり固まってきたらQSPIへ焼く
    • 起動がSDカードより速い
    • 16MBまでしかアクセスできないので、起動用ファイル以外のデータ群はどのみちSDカードになるはず